2018年7月~9月良かったアルバム
1Q、2Qにいて続いて3Qベストアルバム。今回もA to Z順です。
■Ariana Grande「Sweetener」
ファレルの仕事だとClipse「Hell Hath No Fury」のミニマルさが好きなんですが、今作の(特に奇妙な前半に)そのミニマルさを感じる。ベストトラックは夢うつつでディズニー映画のような「R.E.M」。
■The Beths「Future Me Hates Me」
ギターロック、パワーポップの良いとこどり。軽快にけだるそうな声を張り上げて歌うことで代り映えのない景色は変える事ができそうでできなかった青い炎。
■Boyish「めざめ」
前作「Strings」から就活などの理由でメンバー総とっかえした後、7人編成の大所帯になったBoyish。前作「Strings」で隙間から垣間見えたフォーキーな要素が前面に押し出された、寂しさが零れ落ちそうなAORチェンバーミュージック。肌寒くなってくる季節を迎えるのにはピッタリ。
■the hatch「Opaque Age」
インタビューで今作の影響源としてディアンジェロやスライ、ロバート・グラスパーの名が出てきた、54-71の幻影を塗りつぶす北海道の強烈で奇天烈なハードコア。「SEXGAME」のPVは今年最強。
■羊文学「若者たちへ」
リード曲「ドラマ」の歌いだしで“青春時代が終われば 私たち、生きてる意味がないわ”というラインがあるんですけど、つまり青春時代が終わって死ねなかったんでしょう。歌われるのは戻らない日々の喪失感と気だるさ。今までも歌い継がれてきたテーマを一番新鮮に鳴らす轟音オルタナの新星による待望の1stフル。
■LEO今井「VLP」
ここ数年はサポートメンバーや裏方で目にする機会の多かったLEO今井の新譜は、近未来要素が減り、グランジに寄ったサウンドに。ヘッドバンキングが似合うような激しさなのに鋭さがまるでない丸っこいサウンドなのがむしろヤバいみたいな気持ちにさせる。
■Louis Cole「Time」
アッパーなナンバーはもちろんミディアムテンポのバラードでもテンションの高いアグレッシヴさ、そして牧歌的な雰囲気がほどよく融和した最新型AOR。変態的ともいえる。
■Low「Double Negative」
スロウコアの重鎮がモダンなプロダクションをまとってノイズやエレクトロを長い年月をかけて配置して、今までで一番バンド名を表すような音像になった。気が滅入るような陰気さが漂うが、全編聴き終えると結構爽快感が強い。
■Mitski「Be the Cowboy」
前作のオルタナロックから情念を携えたままポップのエンターテインメントへ。節操のないくらいの曲調のアレンジの幅の広さと奇妙な曲の展開が、アイデンティティへの葛藤に説得力を持ったジャンルとしてではなく真の意味でオルタナティヴなマスターピース。
■Tirzah「Devotion」
00年代後半の動画配信サービスが台頭してきた辺りの音質の悪い音楽を再構築したようなMicachuプロデュースのアブストラクトR&B。5年前のクラシック「I'm Not Dancing」の粗雑な音像もすごい好きだったんだけど、今回の不明瞭さも良い。
旧譜では、
Chance the Rapper「Acid Rap」
井上陽水「バレリーナ」
七尾旅人「オモヒデ オーヴァ ドライヴ」
ミツメ「mitsume」
を好んで聴いていました。