2017年上半期フェイバリット”サマー”アルバム
2017年上半期リリース作品でこれからの季節に合うアルバム11枚10枚選びました。
A to Z順です。
■Alfred Beach Sandal + STUTS「ABS + STUTS」
シンガーソングライターとトラックメイカーのコラボEP。
これまでも互いの作品でコラボして素敵なケミストリーを起こしてきた彼ら。今作収録曲群は今までのコラボ曲に比べ、ファンキー要素が増しつつ、抜けの良さ・心地よさは相変わらず抜群の異国ポップ。あと今更Alfred Beach Sandalの歌声って特殊だなあと思った。
■Blanck Mass「World Eater」
Fuck Buttonsの片割れ、Benjamin John Powerによるソロプロジェクトの3rdフル。
電子音、ノイズにクワイアの激流。不敵なタイトルも納得の音による圧倒的暴力。そして実験性より快楽主義が全面に出て、結果的にミッシェルやギターウルフと同じ耳で聴けるのが何より楽しい。このアルバム自体は特に夏っぽさないけど、8月のHCANに出るから、その予習として。
■Charly Bliss「Guppy」
ニューヨークの4人組バンドによる1stフル。
ロリータなボーカルもそうだけど、何よりパワーポップ馬鹿なバンドサウンドが痛快。1曲目「Percolator」でサビが終ったあとのシャウト!あのシャウトだけで魔法にかかった人も多いのでは?また巷ではWeezer、That Dogを思い浮かべる人が多いけど、それらのサウンドを通過してこなかった自分にはジュディマリ、矢井田瞳や大塚愛すらも思い出したし、何かもうこれはこれで世代直撃ストレートって感じ。
■Choker「PEAK」
ミシガン州のシンガー兼ラッパー兼プロデューサーによる1stミックステープ。
HPよりフリーDLできる今作は、既に多くが言っているように昨年の異物な傑作Frank Ocean「Blonde」が好きなら気に入るだろうストレンジ・ミュージック。ただこちらの方がベッドルーム・ポップでありつつ、ストリート感があるため軽やかな印象を受ける。
■feather shuttles forever「feather shuttles forever」
“漁村系” というジャンルを掲げるhikaru yamadaとマリ(mukuchi) によるユニット初作。
トロピカルでありながら、トロピカル・フレーヴァーを感じさせない、(行ったことないのであくまで想像だけど)漁村の寂びれた感じ漂う味わい深いポップ集。アブストラクトなピアノが美しい「舟歌」が白眉。人気の少ない海が好きなら。
■Her's「Songs of Her's」
リヴァプールの二人組ロックバンドによるEP収録曲などを集めたコンピレーション盤。サーフロック、ギターポップ、ポストパンク、ドリームポップあたりのジャンル名がこぞって取り上げるが、何よりジャンルを超えメランコリックなムードがたまらない(特に6と7)。そして「Speed Racer」の軽快なロックンロールっぷり、「I'll Try」の屈折した青春の輝きは全然まぶしい感じがなくて素敵。ジャケのは紐パンではなくビキニらしいです。
■POLPTOM「Mountain」
“POLPTOMはisagen ( TREKKIE TRAX )名義で活動する提坂智之とドラマー武田啓希による二人ユニットです。
Mountainは9曲入りのアルバムです。”
とのことです。TREKKIE TRAXといえばフューチャリスティックなテクノ中心のネットレーベルくらいのイメージですが、ここでは熱帯夜のお供にもってこいの、ダウナーで音数少ないバンド音楽が鳴っています。ミツメの「eye」が好きなら気に入るでしょう。「バスストップ」を聴いて、あの娘のことを想うのもいい。
■Pumarosa「The Witch」
2月のHCWで来日したロンドンのバンドによる1stフル。
ダークでスロウながら、音のうねりがジャケットの赤さそのまま情熱的なサイケデリック・ゴス・ロックで暑い時期に更に熱くなる。全体通すと単調な部分があるものの、先行曲「Dragonfly」による始まりはカッチョいい。あと「My Grusome Loving Friend」はシンセの音色がキュートなグランジで清涼感あって良い。
■柴田聡子「愛の休日」
今年のベストアルバム候補で、既に普遍的な名盤の風格漂う開けた内容の4thフル。
このアルバムを選んだのは1曲目「スプライト・フォー・ユー」が富士山を見に行く歌で、夏季休暇にどっか行くのもいいかなと思わせたからなんですよね。という意味でもDO YOU NEED A REST FROM LOVE?なのかも(???)
■サニーデイ・サービス「Popcorn Ballads」
現在Apple MusicとSpotifyのストリーミング・オンリーで公開されている再結成後4枚目のフル。22曲もあり混沌で散漫しているが、最初の方の曲の印象もあり、曽我部ソロの「汚染水」を発展させたようなダーティーなファンク・ロックが柱となっているアルバムです。「花火」や「summer baby」、「サマーレイン」といった曲名でもう夏な曲に囲まれて、ポツンと「クリスマス」という曲があるのが何かいいなあと。しかも夏でも聴けるファンキーな輝き。でもアルバムとしては、ぶっちゃけ通して聴くには長すぎるので疲れる。
■ゆるふわギャング「Mars Ice House」
Ryugo Ishidaと Sophiee、ビートを手掛けるAutomaticのユニット。
今年の台風の目。ゆるくてドリーミーなトラックに、全てkillしていく勢いのふわふわしたラップは炎天下でぼやけた視界と相性よさそう。インタビューでも言っていたけど、前半は「Drippin' Shake」、「Hunny Hunt」とポジティブなバイブス発していて、後半になると「Sad But Good」、「大丈夫」と夕暮れ眺めるようなエモい曲連発の流れがベタですけどロードムービーみたいにロマンチックでいいんですよね。