年末リリースされ、2015年ベスト入れれなかった新譜
あけましておめでとうございます。
感が鈍いというか、ちゃんと聴けてないというか、
年末にリリースされたものは、年間ベストで入れ辛い部分がありまして、
そういったものは例年あるんですが、2015年は特にそういうものの中で年間ベスト級が多かったので、せめてここで書かせてもらいます。
■土井玄臣「ぼんやりベイビー EP」
言葉にできない音楽の続き。そしてスランプを超えた先の、言葉にできない音楽。
「The Illuminated Nightingale」にあった平衡感覚を失うあの夜の浮遊感は健在、もうそれだけで最高なんですが、今回、収録されている「あの娘の残したもの」のキャッチーさについては奇跡みたいに感じていて、なんでしょうあのファニーなコーラスは?まるでいかれたファンファーレのようです。「あの娘のビッチ」の浮遊感を失わず、それでも胸を押しつぶしてしまうが如くのインダストリアルな圧も何なんでしょう。
まだまだ消化し足りない、新たなる「特別な1枚」。言葉にできない音楽。
■Taiko Super Kicks「Many Shapes」
最初聴いたときは少し顔をしかめてしまった。
前作「霊感」では素朴ながらも壮大なサウンドスケープを展開していて、世間では「ポストミツメ」だなんて言われているけれど、あちらはもっと偏執狂なまでにミニマルに素朴な音楽で、そことは全然違っていたし、その壮大さにガキンチョのハートはキャッチされていたのである。
しかし今作「Many Shapes」ではその壮大さは抜け、平熱のミニマルが支配するように。それじゃポストミツメじゃんと思ってしかめっ面になったのも束の間で、こちらのミニマルはミツメのような偏執狂さはなく、もっと朗らかでラフ。そこらへんをわかったのは「シーツ」「ラフ」の辺り。というかこの2曲がキラー(といっても地味)で良い。特に「ラフ」のイエイエイエイエの箇所は死臭を抜いて、わずかな霊力だけ残った「ゆらめき IN THE AIR」といった趣で感慨深い。
■トーベヤンソン・ニューヨーク「Someone Like You」
オノマトペ大臣、スカート澤部渡、三毛猫ホームレスのmochilon、森敬太、西村ツチカ、金子朝一、玉木大地、唐木元による「2番目に得意なこと」をやるのがコンセプトのインディーオールスターバンド。マンガが大好き。
内容は、学園祭の魔法をいい年したオトナが再び呼び戻そうとする感じの、ビレバン育ちの初期ロスキャンって具合の、とても歪んでるインディーロック。でも写真には写さなかった美しさがここにはきっとある。傑作シングル「ロシアンブルー」は収録されてないけど、「Party Time」、「クラシックすぎて」、「ほうせんか」でおつりが来てしまう。キラキラしている。
そして久しぶりにオノマトペ大臣の張り上げるようにするラップを聴いたけど、やっぱ胸熱くなります。
■Brandon Coleman「Self Taught」
Flying Lotus「You're Dead」、Kamasi Washington「The Epic」に参加していた鍵盤奏者Brandon Colemanの2011年にひっそりと出ていた1stのリイシュー。
こ れはもう1曲目「Never The Same」でグラマラスなソウル・サウンドからロボ声が乗った時点でぶち上がった。そしてそのテンションのまま、スタイルのまま駆け抜ける7曲(+α)。 何よりスペーシーなアレンジなのがラブい。ブラックミュージックが飽きたどうのこうのいってらんねえや、って具合で相当気に入りました。2015年ベストリイシュー。