The 1975「I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful Yet So Unaware of It」

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今やすっかり売れっ子、The1975の2ndアルバム

今作を印象付けるのは「Love Me」、「UGH!」といった先行曲でお分かりのように80年代のMTVで流れていたようなエレポップ。そういったリバイバルはすでに特別なものではなく、むしろ「もういいよ」と言ってしまいそうになる路線でもあります。ただそれでもこのアルバムの曲群はそういった怠いムードを超えて瑞々しく響いてくる!その理由は単純に曲・アレンジが良いというのもありますが、何より幽玄的で奥行きのある音がよい。路線はともかく、モダンな音。

そしてまた今作収録曲はボーナストラック抜きにしても17曲入り70分超えという長尺のアルバムであります。そこで思い出されるのは、セルフタイトルでもある1stアルバム。そちらも長尺のアルバムでしたが、正直、寄せ集め感が強くアルバムとしては散漫。またクオリティにバラつきもあったことで「Chocolate」、「Sex」はいった曲を取り出して聴いてばかりでしたので、最初は収録曲数を知ったときは不安の方が大きかったです。

しかし蓋を開けると、アルバムの長さがそのまま良い方に作用しており、ネオン街の夜を生きる若者たちの泣いたり笑ったりの日常を切り取ったサウンドトラックのように響いてきております。
また「Love Me」、「UGH!」といった先行曲からしたら意外ともいえるシガーロスをも頭をよぎるシューゲイザーな「Lostmyhead」、エレクトロな表題曲もアルバム中盤でいい味を出しており、
この響かせ方はthe ARROWSの、これまたパーティーを楽しむ若者の昼と夜を描いた大作「GUIDANCE FOR LOVERS」を想起しました。もうこれだけで自分としては感涙ものなんです。

それにタイトルを長くするセンス、フィオナ・アップルは除くとしてもどこかズレているのも微笑ましい。そしてこのタイトルのキザな感じもなんかズレてる。でもとてもハマってる。このキザったらしいセリフを臆面もなく言えるやつらに許された甘い日々。甘いエレポップ。これが今一番モダンに響くし、マジ最高。