最近聴いてるアルバム

 

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THE NOVEMBERS「Rhapsody in beauty」



アルバムリード曲「Romancé」がアトモスフェリックで黒魔術な傑作ポップだったので、思わず久々にアルバム買いましたが、1~2曲目がノイズ塗れでボーカルが何言ってるか全く聴き取れず。3曲目からおなじみの小林祐介の声がしっかりと聞こえてきますが、ノイズは一切手の内をゆるめず。そのノイズは聴き手を驚かすためのような露悪的なものでなく、また前衛で独りよがりなものでもなく、詳しくは本人のブログ記事を見ればいいんだけど、開かれた明確な意思と耽美主義を中心とした美意識で貫かれた正しい意味でのハードコア。プレイイットラウド。



■きのこ帝国「フェイクワールドワンダーランド」




きのこ帝国待望の新譜は旧譜と比べても比べなくても、軽やかで爽やかな手触りの作品になっています。それは既出の情報と先行公開された「東京」で予想した通りで、歌われる内容も情念めいたものは浄化されて、他者とのコミュニケーション、出会いや別れがモチーフの中心になっていて、そこで誰が呼んだかオルタナヒロイン佐藤氏の近況なんかを勘ぐりたくなる気持ちが芽生えないわけではないですが、そもそも日本で一番多い苗字・佐藤の歌詞は自由に解釈してくれってスタンスで匿名的である、と同時に佐藤本人の過ごす日常を綴った極私的な内容で、そこには共感できる部分とできない部分があって、例えばフェイクワールドに思ったり、ワンダーランドに思ったり。だからこそ個々のズレを楽しめるんじゃないでしょうか―――。

なんか自分で書いててわけわからなくなってきた。とりあえず5~7曲目にインタールードの役割を果たす曲が3曲入れてアルバムの流れがガラッと変わるのがめっちゃ好きです。それと「ラストデイ」みたいなグランジ・ロックバラードを今、真っ当に歌えるのはきのこ帝国くらいじゃないでしょうか。



■Iceage「Plowing Into the Field of Love」



今まで視聴しては食指が動かなかったけど、今作収録のリード曲「The Lord's Favorite」のオーバードライブ気味の性急なロカビリーにVo.のエリアスはバリトンヴォイスでまとわりつくように歌うその構図に完璧ノックアウトされました。貴族的な匂いを漂わせた酔いつぶれ寸前のロックンロール。本作の曲群はピアノやホーンセクションといった楽器が使用されているのも特徴的で、中でも「Against the Moon」は気怠さと幽玄さを感じさせるミディアムナンバーで傑作です。



cbs「TOWN」



神奈川のヒップホップグループによる投げ銭制アルバム。6月にBandcampでリリースされて、そのダルでメロウなグルーヴはイリシット・ツボイ含む好事家たちの夏を彩った。それこそ「summer digest」という曲名通りに。
とはいえ自分がこのアルバムの存在を知ったのは10月後半の肌寒くなってきたタイミングなので、まだ夏の恩恵を受けてこのアルバムを聴けてません。しかしながら自分がこのアルバムで一番好きなのはスイートR&Bをサンプリングした「Green」、安室奈美恵「White Light」以来の日本のクリスマスR&Bの傑作。Green Greenと連呼するのも中毒性があっていかすぜ。