2019年ベストアルバム20

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本当はもっと早く投稿するつもりでしたが、Celesteの程よい高難易度具合にハマって年の瀬ギリギリに…。B-Side全部クリアしたと思ったらC-Sideが出てきて目の玉飛び出るかと思った。



ということで下記が2019年の年間ベストアルバムです。

 



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20.PUP「Morbit Stuff」

思わず拳を上に突き上げたくなるポップパンク。時折見せる変態的なドラムパターンもバンドの持つ熱に押されていけすかなさを感じない。

PUP - Kids (Audio)



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19.Daisies「What Are You Waiting For?」

DFAからリリースしていたCCFXのメンバーが新たにガールフレンドをVo.に招いた新バンドのファースト。キャッチーだけど無機質なエクスぺリメンタル・エレクトロ・ポップ。タイトルおよび1曲目に対して9曲目にて「I'm Not Waiting Anymore」と答えるのもネガティヴで良い。

DAISIES - "Anyone’s Style"




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18.James Blake「Assume Form」

素晴らしい昨年のシングル群と比べても、なんかトラップ取り入れて少し汎用になってないかと最初は失望したんですけど、他の(トラップ取り入れた)最近の音楽と比べるとやっぱり唯一無二の音だなと考え直して、それからはよく聴いていた。

James Blake - I'll Come Too




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17.堀嵜菜那「壺」

愛知県半田市出身のSSW。今年の地元応援枠…ということを除いても、湿っぽくもミニマルなギターラインがテクノ聴いてるみたいで癖になるアシッドフォーク。

顔-face- from 1st album "壺/pot" by 堀嵜菜那/Horisaki Nana | Free Listening on SoundCloud



 

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16.The Murder Capital「When I Have Fears」

勢いあるふくよかな演奏と悲壮感漂うヴォーカルが駆け抜けるダブリンのポストパンク。中盤にあるスロウコアみたいなバラッドもよい。

The Murder Capital - Green & Blue (Official Video)




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15.feather shuttles forever「図上のシーサイドタウン」

好みとしては寂莫たる1stの方なのですが、少しせわしないこちらも好きです。そしてなんだかんだこっちもこっちで騒がしさの中に閑散とした空気を感じる。ラスト曲“提案”ではナツノムジナ(こちらも年間ベストに入れた)のメンバーがギターを弾いてます。

提案 to be continued edit (feat. Tenma Tenma, kyooo, 粟国智彦, 入江陽, SNJO, 西海マリ) | Local Visions




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14.Florist「Emily Alone」

モノクロのアートワークが映えるアンビエント・フォーク。特筆すべき点はないですが、儚くも優しいメロディと歌声を聴いてると寂しい気持ちになります。

Florist - Shadow Bloom (Official Music Video)




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13.FKA Twigs「Magdalene」

蠢く電子音に悲しみを帯びたヴォーカル、しかしそこに力強さや荘厳さを感じることもできる。Nicolas JaarやSkrillex、そしてEthan P. Flynnといった新星が参加しているのも見逃せない。

FKA twigs - sad day




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12.Suchmos「THE ANYMAL」

同世代のバンドで一番売れていた彼らだったが、チルからも暴力からも背を向けてまさかの長尺のサイケデリック・ブルース路線。今年一番驚いたし、今年一番支持したい路線変更。これから先どんどん評価されていってほしい。

Suchmos "In The Zoo" (Official Music Video)




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11.Vanishing Twin「The Age of Immunology」

Broadcastの元メンバー在籍、そして今年復活したStereolabのOAも務めたバンドの2nd。挙げたバンドと比べて少しだけキャッチーでコズミック。その塩梅がよいです。メンバー全員ヴォーカルを取っているのも今っぽい。

Vanishing Twin - Magician's Success (Official Video)




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10.Little Simz「GREY Area」

主張しすぎない滑らかでミニマルなジャズのビート、そこに鋭いラップが絡み合う。特に冒頭2曲はTirzah「I'm Not Dancing」を思い出すドラムスとベースラインのみという。Little Simzは今作で初めて聴いたんですがこんなにかっこよかったんですね。

Little Simz - Selfish feat. Cleo Sol (Official Video)



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9.Pot-Pourri「Classics」

戯曲、V系、四畳半フォークなど2019年のメインカルチャーにもカウンターカルチャーにもそぐわなかったモノがキマイラ化したゴテゴテしているのに妙に素朴な味わいの1枚。最初は頭でっかちすぎないかと思ったりもしましたけどよく聴きました。

Pot-pourri - Revolver (Official Audio)




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8.People In The Box「Tabula Rasa」

波多野氏がギターをピアノに持ち替えた曲は今までも彼らにあった要素でしたが、ここまで全面フィーチャーされたのは初めてではないでしょうか。「Kodomo Rengou」以降のピープルはずっと極北の地に立っている印象がある。

People In The Box "懐胎した犬のブルース" (Official Music Video)



 

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7.長谷川白紙「エアにに」

フュージョンにドリルンベースをぶつけたようなエクストリームな音楽性でありながら、すべての音と展開に必然性を感じさせるのもすごいのですが、妙にマッチした薄味の声も唯一無二ですごい。故に「風邪山羊」、「山が見える」、「ニュートラル」のヴォーカルが映える牧歌的な曲に惹かれる。

長谷川白紙 - あなただけ (Official Music Video)




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6.Big Thief「U.F.O.F.」

今年2枚連作でアルバムを出したBig Thief。“地”側である人懐っこい「Two Hands」ももちろん良いのですが、自分は“天”側である今作のミステリアスさに翻弄されていたい派です。どちらにしろAdrianne Lenkerのシルキーとハスキーが同居するヴォーカルを官能してしまえば虜になってしまうのですが。

Big Thief - UFOF (Official Audio)




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5.Girl Band「The Talkies」

先ほど挙げたMurder CapitalやFountains D.C.トロントの先輩としての面目躍如、歌詞にある「感嘆の声がゲップになる」がそのままサウンドの説明になりそうなノイズロック。My Bloody ValentineLoveless」から影響を受けているそうですが、「Loveless」収録曲だと“Touched”のグニャグニャが一番このアルバムの雰囲気に沿っているあたり業が深い。

Girl Band - "Shoulderblades" (Official Video)




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4.ナツノムジナ「Temporary Reality Numbers」

「90年代のロックを思い出す10年代前半の東京インディー」を思い出す10年代の終わりのサウンドトラック。そして今年一番ギターがかっこいいアルバムで、その圧がそのまま空間を覆いつくしたK.D.ハポンでのライブは今年のベストライブです。

ナツノムジナ - 煙の花束 / natsunomujina - Kemuri no hanataba(Official Video)




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3.ミツメ「Ghosts」

1stアルバム以来のキャッチーな側面を持ちつつ、ギターかシンセか分からなくなるまで重なるレイヤーにアンビエント的快楽を見出しては魅了される。アルバムが出た今となってば、ずっとミツメがこういう音を鳴らしてほしかったという気持ちがあったんじゃないかと思えてくる。

ミツメ - なめらかな日々




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2.(Sandy) Alex G「House of Sugar」

前作「Rocket」と同じく前半と後半を普遍的に良い曲を並べて中盤に実験的な曲を組み込む構成なのですが、普遍性と実験性の境目が曖昧になってきており、実験的な曲が並ぶ中盤のほうが手作り感あってほほえましくなる謎。Z Tapesからトリビュートアルバム出たし、宅録フォークのカリスマみたいになってきましたね(もうとっくにか?)。

(Sandy) Alex G - Hope (Official Video)




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1.THE NOVEMBERS「ANGELS」

今まで培ったハードコア、ノイズの知己にV系影響下のロマンチシズム、アニメ主題歌的ロックが混ざり合って出来上がった彼らの趣味全開剛速球。1曲目「TOKYO」の映画AKIRAガムランを連想させるシンセもそうだが、ノベンバのカタログの中で一番笑える。今までノベンバは毎回チェックするくらい好きだったんですが、それでも一歩置いてた部分が否めないと思わせる最高傑作。

▲THE NOVEMBERS「BAD DREAM」(OFFICIAL MUSIC VIDEO)▲



次点はAngel Bat Dawid、Deerhunter、Oso Oso、Sacred Paws、So!YoON!。

今年のベストアルバムはまずノベンバ、アレックスG、ミツメの3枚が浮かんできてそこから決めていきました。傾向だけでいえばポストパンクとフォーキーな音楽を好んで聴いていた気がします。それにしても去年はピープルで今年はノベンバと10年前から結局そんな変わんないなーと思いつつ、10年前から変わらないために変わり続けた両バンドに最大限の敬意を。