STUTS「Pushin'」

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レッドブルの企画でGRAPEVINEの最新作「BABEL,BABEL」の人気曲“SPF”を気鋭のトラックメイカー/MPCプレイヤーであるSTUTSがリミックス!こちらで聴けます。
原曲からコズミックに変貌した“SPF”の感想はTwitterで見る限り、否の方が多めの賛否両論な模様。かくいう僕は最初は酷評していましたが、1日置いて聴いたらハマってきました。共通の意見としてはDLできなかったということくらいか。

しかしながらリミックスした当人であるSTUTSにはバインファンの方々はあまり注目していないというか、もちろん否の人が漁ろうと思わないのは仕方ないのですが…。とりあえず賛の人も否の人も今春リリースされたアルバム「Pushin'」を聴いてほしいです。リミックスで終わるのはもったいない色鮮やかな傑作なので。

「Pushin'」は乱暴に言えば客演を招いたボーカル曲とインスト曲に2つに分かれます。客演を招いたボーカル曲はどれも最高に仕上がっていて、中でも夜明けの空気を吸い込んだメロウなワンループものの“夜を使いはたして feat. PUNPEE”、2016年の“終わりなき歌”はヒップホップだった“Rock The Bells feat. KMC”はすでにクラシックという勢い(リリックも素晴らしすぎる)。「バインから調べてラッパーの曲に行くのは落差が…。」と思う方にはAlfred Beach Sandalを迎えたラウンジR&Bうたもの“Sail Away”からチルしてどうぞ。

こういうアルバムはいかに客演モノにインスト曲が隠れてしまわないかで評価がかなり変わっていくと思うのですが、インスト曲も“Renaissance Beat”に“Pushin'”と全体的にメロウな雰囲気の中でも弾むリズムが楽しくて優しい。歌うようなトランペットの音も下世話でありつつも上品。何より1曲1曲の違いがしっかりとかき分けられていているのがヒップホップ門外漢な俺にもたまらん。聴けば聴くほどシュールでカラフルなアートワーク通りのアルバムだなあと感心します。

バイン的な要素が少ないからこそ、バインファンに薦めたいサマーブリージンで色鮮やかな傑作。