Boyish「Strings」

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国内シューゲイザーの雄だったバンドの3rdアルバム。

 


優雅なバイオリンとサックスに潮風のように心地よく流れて、エフェクトかけられたギターの音はまるで波しぶきのようにキラキラしているね。ここにはかつてのシューゲイザーと容易く呼べるノイズも、流行りのシティポップとレッテルを張る単純さもここにはなく、AORネオアコニューロマンスも通過して、どのジャンルに当てはめてしようとしてもはみ出してしまう、しかし確実にわかるのは夏の音楽であるということなんです。

しかもそれは「君と夏フェス」してタオルを振り回すような一体感重視のJ-ROCKシーンからは遠く離れた、人気のまばらなビーチで白いワンピースが揺れるような夢を見ている冴えない僕の夏模様が丁寧すぎる程に書かれています。だってインディー・ソウル・ポップなサマー・アンセムの「セカンドサマーオブラブ」は歌いだしから、

せっかくの夏なのに家にいてばかり
やることいっぱい宿題終わらない
レコードのセールは見逃せないよ
今しかやれないこともあるよね
くたくたになって遊びに行って
あの子に声かけず泣いて帰るよ
最近こんな感じセカンドサマーオブラブ

 
ですよ。思わず涙がこぼれてしまいそう。特に“レコードのセール”っていうのがうだつのあがらない音楽ブログ書いてる身には効く。ましてや恋愛至上主義社会の元に育って、空から美少女が降って来る幻想ばかり膨らませている僕ですよ。隙自語。




もちろん空から美少女は降らないし、こうしている間にもあの娘は悪い大人に騙されて無理矢理AVに出演させられるとニュースはいうけれど、その夢見る力で何か革命を起こせるような予感ばかり頭に巡らせてしまう1枚。琴線に触れる。