2015年ベストアルバム30
今年を振り返ってみると、自分リスナー史として大きな変化があって、それは外回りという仕事上の都合なのですが、イヤホンで音楽を聴くよりカーステレオで音楽を聴く時間の方が圧倒的に増えた。
仕事もどんどん忙しくなってきて、なんとなく好みも変わってきているのを実感しつつも、結局、自分はパーソナルな視点から世相を描くようなものが好きなんだなと1,2位を見てなんとなく思いました。
次点:
Ash Koosha「GUUD」
ASIAN KUNG-FU GENERATION「Wonder Future」
Nidia Minaj「Danger」
PELICAN FANCLUB「Pelican Fanclub」
Pot-pourri「Archaic」
30.Hiatus Kaiyote「Choose Your Weapon」
29.うみのて「21st CENTURY SOUNDTRACK」
28.悠木碧「イシュメル」
27.möscow çlub「outfit of the day」
24.Second Sun「Hopp/Förtvivlan」
22.NOT WONK「Laughing Nerds And A Wallflower」
19.入江陽「仕事」
18.Alabama Shakes「Sound & Color」
17.People In The Box「Calm Society」「Talky Organs」
16.Girl Band「Holding Hands With Jamie」
14.My Little Lover「re:evergreen」
10.Oneohtix Point Never「Garden Of Delete」
2015年ベストトラック発表後くらいにやっと少しずつハマっていった名盤化。
すっかり定型化したオルタナティブロックとしてのグランジから、オルタナティブを無理矢理呼び込もうとしたらこうなるのかもしれない破壊衝動と露悪趣味。「全てを消し去る神の庭」というコピーは、のび太と鉄人兵団でのしずかちゃんの“あの解決策”を少し思い出したり。
9.OMSB「Think Good」
漢気でこぶしの効いたラップのせいか演歌の魂を感じるユーモラスで黒くドープなヒップホップ。タイトルよろしくポジティブな気分になれるし、アツくなる。
「Goin' Crazy」での「火星人と契約して最上もがと同じ顔になった女」というフレーズは今年一番の衝撃。
8.Grimes「Art Angels」
アルバム1枚ボツにした後の、血の涙を流しながらカマすエレクトロポップ。
売れ線の方向に弾けたとよくいわれているけれど、聴いているとこれが売れ線なのかもはやよくわからなくなってくる。そしてそのわからなさに惹かれている最中。
7.ROTH BART BARON「ATOM」
80年代SFから影響を受けたという世界の終わりを描いた壮大な歌詞に負けない、壮大なサウンドスケープを展開しつつ、それでも今作には文脈的に関係ない、むしろ対局側である(I Hate)Travis「The Man Who」並の俗っぽさもここにはある。
今月23日に観たライブは意外にもアクティブでノイズで、そのギャップでもアガる。
6.GRAPEVINE「Burning Tree」
老いていくこと、シーンの中心にあがることはないと認めたこと、事務所が移籍してフレッシュな気持ちになったこと。
今までのバインの延長線上でいながら、成熟は訪れたように、憑き物が取れたように、穏やかでいながら、父性が芽生えながら、なんとなくの寂しさも抱えているウェットな仕上がり。
5.SOPHIE「PRODUCT」
バブルガムベース爆心地のプロデューサーによるシングルコレクション。
「BIPP」「HARD」の躁なポップももちろん、「L.O.V.E.」の兎に角キモいノイズもあって最高。全体に通底するオタクっぽさとチャラさ、そして何より露悪趣味によるキャッチーさがたまりません。
すでに少しずつバブルガムベースが下火になろうとしつつも。
4.cero「Obscure Ride」
“Contemporary Exotica Rock Orchestra”から“Contemporary Eclectic Replica Orchestra”へ改名後の初アルバム。ネオソウルの方角へ舵を取ったこのアルバムでは不気味なほどエロスが抜け落ちている代わりに、佇まいが似てるとたまにいわれるフィッシュマンズも抱えていた空虚さが顔をのぞかせている。でも核には相変わらず現実と虚像の境を曖昧に、ごちゃまぜにする普遍のロマンスが。
3.Kendrick Lamar「To Pimp A Butterfly」
グラミー最多ノミネート!
各メディアの年間ベスト独り占め!
膨大な情報が詰め込まれたルーツミュージック。国内盤を買いましょう。
無知であっても、その外観だけで思わず惚れてしまうラップとストリート・ジャズのかっこよさ。
前半の畳みかけるアグレッシブな展開もそうですが、後半の「Momma」からのメロウな流れも素晴らしい。
2.吉田ヨウヘイgroup「paradise lost,it begins」
下北沢インディーファンクラブの時のライブがすごすぎて、そこから派生して自分の中でポストロックを漁ってみたりして、兎にも角にもそこが大きいのだけれども。音源の方は最初、ダークで地味で苛立ちが積もっていて「Music,you all」が一番派手やんけとなっていたけれど、自分の生活も同じように社会人2年目の苛立ちやネガティヴィティが積もっていき、どんどんシンクロしていった。またそういった心境の中で、全体的に哀愁漂う曲の中でホーンの勇ましさやギターのラウドさに気づいていき、秋頃よりそこに鼓舞されてきた。
1.泉まくら「愛ならば知っている」
“「世界なんてどうでもよくて、ただ君にだけ優しくしたいんだ」と君と僕だけの理想を描くも、今日も世界に負ける”というある種の普遍的な世情・感情を、ヒップホップで、J-POPで、トラップで、ジュークで、語りで描き切った約30分。その収録時間でインスタントな印象を感じ取っているようならそれは間違い。ただそのインスタントポップの世界に足を踏み入れたかつてケータイ小説時代の歌姫である加藤ミリヤのLIVEもこのアルバムのピースで、それでいて七尾旅人が10代で嘔吐した1stアルバムにも似た混濁さも得ていて…。
共感が入るスキがないくらいに個人の世界を吐き出した歌が、普遍性を得る事象の最前線。
あと単純に捨て曲なし。