最近聴いてる11月の激戦区


11月は気になる新譜が多い!
愛しかないとか思っちゃうヤバい!

 

 


■Oneohtrix Point Never「Garden Of Delete」

事前に公開された曲、そしてインタビューでのNine Inch NailsSoundgardenからの影響、「オルタナティブロックアルバム」という発言。結論としてはそれで違いないけれど、でも、よく考えたらOPNの音楽ってゲームのトラウマになったシーンを集めた動画のような理系工学ヲタク感が元からあってそれが今作において増幅した印象が強い。アルバムの頭文字をとると「G.O.D.」になることも理由の一つ。

と、ここまではいいんだけど、飽く迄「オルタナティブロックアルバム」というのは表層の部分だけであって、内部には混乱とエラーが渦巻いていて、そのまま聴き手である自分は混乱してしまう。そこで慌ててこのアルバムの「オルタナティブロックアルバム」の部分に安堵を求めようとして、さらに混乱してしまう…。でも安易に怪作というのではなく、傑作と呼びたい。そんなアルバム。




■UN.a「Intersecting」

聴きなれない名前ですが、

ピアニスト、電子音楽家である中村浩之と、サックス奏者でありミキシングエンジニアの宇津木紘一により2011年に結成。 クラシック出身とジャズ出身という違うフィールドの2人でありながら、共同で作曲、演奏、エレクトロニクスを駆使し、 生楽器と電子音の新しい融合を試みるというコンセプトで活動。

 
らしいです。ユニット名の読む方はユー・エヌ・エー。

大まかにいうとエレクトロニカ×ジャズ(×ポストクラシカル)のクロスオーバーなんですけれども、これは理想形の一つじゃなかろうか。そう思えるくらいに素晴らしい。何よりジャンルの横断の側面以上に全体を支配するアブストラクトで夢遊で切ない雰囲気。最終的にはポップスにたどり着くその手腕。というかポップスとしての強度が凄まじい。flauからBrainfeederをつなぐ夢の音楽。




■水曜日のカンパネラ「ジパング

ここまで満を持して感のあるアルバムも久々では?

音源としては初めて聴いた水曜日のカンパネラ。
最新のインディーからメジャーをつなぐダンスミュージックが目白押し。ひょうひょう(で済まされるレベルのものではないが)とした歌詞とコムアイのボーカル。人懐っこいようで、とっつきすらいような怪しい雰囲気。

広告代理店的なおもしろさも、ファッショナブルなおしゃれさも、髄に響くダンスミュージックとしての楽しさも兼ね揃えた、なんかもう逆につまらなく感じるくらいにほぼパーフェクト。フロアで、もしくはフロアから抜け出して誰もいない深夜の街で、もしくは広告塔のさばる人ごみの中でダンス!





■きのこ帝国「猫とアレルギー」

メジャーデビュー作。

かつて君は下北沢ギターロックに夢中になったその一人だったんだけれど、そこから時代も変わって今じゃすっかり縦ノリの音楽は安易な集団行動の装置になり果てていて、それより各一人ひとりが踊れる横ノリの、ブラックミュージックの延長の音楽を聴くようになっていた。

きのこ帝国も「夜鷹」、「クロノスタシス」とブラックミュージック色のある曲を今まで何曲か出していたのに、今作じゃ完全に初期のYUIのような凛とした一輪の花のような素朴ながらかわいらしい青春のミディアムロック。ましてや歌詞は今一番、藤原基文に書いてほしい「車輪の唄」「スノースマイル系譜の淡い青春群像の別れのシーンばかり。想い出ぽろぽろ。

いや、メジャーに入ったからかアレンジにストリングスやピアノも入っているけれど、地味な作品ですよ。浮足立たない着実な足取りともいえるし、そう呼びたくなるのは芯の通った歌の美しさがあるから。