ROTH BART BARON「ATOM」

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ちゃんと聞いていないというところが大きいのだけれど、ROTH BART BARONには北欧インディー・フリー・フォークの影響下にある日本のバンドという認識が強く、食指は動かないタイプにバンドだった。だって話題になった1stは「ロットバルトバロンの氷河期」ってアルバムの名前だったし…。ただ2ndアルバム「ATOM」の前にSandrro Perriと現地で対バンしたということで興味持ち始めたのですが。

2ndである今作「ATOM」もジャンルで分別する場合、一番適当なのはフリーフォークだと思うけれども。それでも先行公開されたバラード「bIg HOPe」を聴いて感じたのはロックのダイナミズム。Jessica Mossの美しいストリングスに気を当てられて、2015年の「Bittersweet Symphony」とか思ってみる。「フランケンシュタイン」の鍵盤の連弾もアガる。カタルシスがある。

幼少期に観た80年代のSFをヒントに書かれた歌詞の世界の終わりのアナーキズム漂う叙事詩も正しくロック。この終末的世界観は「文明への警鐘」の意味合いが大きいんだろうけれど、それでも陳腐化した世界の終わりの美しさを取り戻すくらいには十二分にロマンチック。「ぬかしやがるんだ!」とか口語なのもよいし、「ファミリーレストラン」、「ショッピングモール」といったフレーズが壮大なサウンドスケープに乗るそのギャップもいとおしい。美しい音像と根底に流れるパンク精神、このエモさはもっとマスな場所への求心力がある気もする。

まずはロキノンおじさんに薦めたい。特にホリエアツ氏や細美武氏の関わる音楽が好きな人へ。