9月によく聴いたデストロイな音楽

 

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■トリプルファイヤー「エピタフ」



ボーカル吉田が大喜利企画で地上波にも出るようになったトリプルファイヤーのサードアルバム。
「SEXはダサい」や「変なおっさん」といった曲名から、ネットのノリを歌詞に持ち込んで「これおもしろいでしょw」みたいなノリの思われる人がいるかもしれないけれど、そこをかすめながらも、その視線は世界の真理を暴くかのように冷徹。俯瞰。俯瞰。

特にお気に入りの歌詞は、物理的な破壊がオチを絶対に支配する「トラックに轢かれた」の身も蓋もなさ、スタジオ音源というミュージシャン→リスナーという一方的なコミュニケーションの図式を浮き彫りにする、質問が来ない「質問チャンス」の狂騒っぷり。かなりクール。

※少なくとも軽々しくトリプルファイヤーをサブカルどうこうで批判するやつはバカ。

音は「エキサイティングフラッシュ」のキャッチーさと「スキルアップ」のドープさの中間くらい。
ストパンク/ニューウェイブというサブジャンルは特に80'sのフレーバーを感じさせるものが良くも悪くも多いけれど、ここには現在の音しか鳴ってない。この辺りもかなりクール。
そして今回はポストパンクから源流のブラジル音楽を目指したとのことで、少しだけボサノヴァっぽくなっている気もする。(特に「SEXはダサい」、「ゲームしかやってないから」ら辺で)

しかしこういう歌詞を書いてるのが一番精神的にしんどそうだなーと余計な心配してみたり。

作者がたまに気が狂ってるギャグマンガが好きな人へ。


■HEALTH「Death Magic」



ノイズロックバンドによる6年ぶりのアルバム。「Death Magic」というタイトルがらしいです。
The Haxan Cloakプロデュースの成果がイントロダクションの役割を果たす「Victim」から直に伝わる、押しつぶされそうな重圧がアルバム全編を支配している。

押しつぶされそう。

そ の重圧の中にも、代表曲「Die Slow」を更新する、彼らならではの新たなノイズエレクトロパンク「Stonefist」、盟友Crystal Castlesの2ndを思い出すキャッチーな「Flesh World(UK)」、エレクトロポップと呼んでも差し支えない「Life」など開かれた内容。ただそこには油断したリスナーを押しつぶす重圧が…。こういうのはもう本当、最高だよね…。



■PELICAN FANCLUB「PELICAN FANCLUB」



ドリーミーな狂気が作る音の洪水、透徹した意思が光る歌
ドリームポップとニューウェーブに影響を受けたロックバンド

という紹介文がよくわからないDAIZAWA RECORDSの新人バンドのセカンドミニ。

1曲目「Chilico」のイントロのシューゲイザー!なギターノイズからずっと深夜高速を疾走しっぱなし約30分。それと同時にThe1975以降を感じさせるダンサブルなリフの応酬。そして歌詞は00年代の少年性と10年代のライトさのアマルガムな言葉のチョイス。

天の川 宇宙人 サイコキネシス こうかなし
エイリアン 地球人 こうかはばつぐん

人が死ぬなんて都市伝説さ
誰も彼も皆嘘つきなのさ きっと
全部都市伝説なら僕は考えるのをあきらめる
楽でいい

from「プラモデル」

 
ランクヘッドがちょっと好きだった時期を思い出す青写真。好きな言葉はメメントモリ。こんな腐れ野郎、他にいるかーっての。それは置いといて、こういうシューゲイザーで歌詞がしっかりと聞き取れるところが良いです。