The xx Japan Tour 2018 @ 幕張メッセ

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最新アルバム「I See You」を引き連れ待望の来日。昨年フジロック時に多くの方(フォロワー)がベストライブに挙げていたこともあり、羨む一方だったのでしたが、まさかの日曜日に、しかも翌日も休みなので、これは行かん手はないと思いチケット購入。とてもハードル上げて向かいました。ええ。やらかしました。

実はチケット取った後にO.A.として昨年の「Tempest EP」が素晴らしかったD.A.N.がアナウンスされていて、こちらも非常に楽しみだったんですが、開演時間を1時間遅く覚えていたせいで、わたくしが御茶ノ水DUでディグ終えたくらいにはライブが始まっていたっぽく、会場に着いたころにはもうD.A.N.の出番は終えThe xx待ちという…。

まあ気を取り直して、The xxなんですけど、1曲目“Dangerous”のイントロのファンファーレから当然のように全ての曲がスッと身体に沁みこんで踊れるという異常さ。“根底にメランコリアがあって、音数は最小限で、でもちゃんとフックがあってビートがあって踊れる”というもう自分の好みしかない。ギターもベースも存在感あってかっこいい。Bブロックで後ろの方だったんですけど、途中からどうでもよくなりました。JamieのDJタイムから繋いだ“On Hold”からの“Angels”で締めるラストがやっぱクライマックスですかねえ。Romyの“Love”のリフレインはシンプルながら胸を打ちました。

もうなんか全体として、ちょっとすごすぎましたね。膨れあがった期待を飛び越えてきました。理想的な七色の愛の空間。ただ、ただ、「ありがとう」という気持ち。



終わった次の日の朝は反動でモノクロのビートが聴きたくなってMount Kimbie「Love What Survives」を聴きつつ、谷川俊太郎や「天体の音楽会」に向かいました。



People In The Box「Kodomo Rengou」

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People In The Boxデビュー10周年を締めくくる6thフルアルバム。

12曲60分超、これは「Weather Report」の約70分に次ぐ収録時間の長さ。「Weather Report」は全21曲を1トラックでまとめて収録されていることからも分かるようにアルバムの流れを強く意識しており多くのインタールードを挟んだが、今作「Kodomo Rengou」は1曲1曲じっくりと時間をかけて作られたよう。そのせいで過去最高に創作意欲が渦巻いており、濃密でイビツな仕上がり。それでいてテクを見せびらかす独善的な作品にならないのはポップ愛好家としての矜持か。どの曲も複雑な構造を持って、明確にサビといえるようなメロディも展開もないが、逆にそういった制約から解き放たれたメロディは優雅で中毒性は高い。その中でも特に気に入った曲はバックでうねうねいってるオープナー「報いの一日」、かつての「バースデイ」を超える単語の羅列が気持ち良い「町A」、ピアノリフがGoGo Penguinを連想させる「世界陸上」、美メロ炸裂ミドルテンポの傑作「動物になりたい」。

もはやバンドの立ち位置も、楽曲も、他のバンド・シーンと比べようにも、ねじれの位置にしかいなくて、心のどこへ置いたらいいのか分からなくなってしまうが、そういうバンドこそ、そしてこのアルバムをちゃんと好きといっておきたい。名盤です。