syrup16g「darc」

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昨年、「Kranke EP」リリース時に「わけのわからないものを作りたい」みたいなことを言っていた気がするけど、今作「darc」はその考えをさらに突き詰めていて今まで以上に複雑化して取っつきにくい…。とはいえ「Cassis soda & Honeymoon」、「Father's Day」といったスロウコアな楽曲は一聴目から歌詞の無意味さ含めガッと持っていかれた。再結成後の楽曲群では一、二を争うくらいには。

“解散まで”と“再結成後”のシロップって結構違うと思うんですよ。今作の仰々しいリード文は「COPY」再来みたいに読み取れるのだけれど!多分、今回のアルバムも解散までのシロップと比べてうんぬんかんぬんみたいな文章がネット上に散見されるのだろうけれど、やっぱり「COPY」、「coup d'Etat」、「HELL-SEE」を傑作たらしめたのって才能以上に当時の20代の生き急いでいる衝動がもたらしたもので。そもそも今作で本人が「COPY」を引き合いに出しているのはもう一度あの頃の気持ちで鳴らしてみようという感情論で、決して「COPY2」を作るといった意味合いではないはず。だからもう40歳超えのバンドに往年の傑作を求めるのは無粋。

正直なところ、今作が往年の傑作と肩を並べるレベルの名盤と思えないのですが、ただ次の読めないドライブ感は過去のカタログ群の中でもトップなんじゃないでしょうか。シーンに一石を投じることはないけれど、バンドがいい状態でいる証拠。